Rider & Guide Voice -Satoshi Tsukahara-
-GENIUS & GENIUS Split-
しんしんと降り積もった静寂の森を抜け、長いラッセルから解放されると、目的のドロップポイントはもうすぐそこだ。
ピークへ続く稜線をすすみ、張り出した雪庇の隙間から今日のラインを見定める。スノーシューを外すと膝まで埋まるドライパウダー。
そして眼下には朝陽に輝く降雪結晶の大斜面がボトムまで続くこの広大なキャンバスにラインを描くために生まれたパウダーボードこそ、この『GENIUS』なのだ。

Satoshi Tsukahara
Photo:Joe Kobashi
VECTOR GLIDE創業当時から変わらない独特なアウトライン。
そのテーパードされたピンテールは、ターンでの失速を防ぎ、むしろ踏み込むことによって生み出された浮力が、さらなる加速と安定をライディングに与えてくれる。
深くて軽い雪質の大斜面になればなるほど、まさに水を得た魚のごとくその性能はいかんなく発揮される。
そして、レングスの割に短めのコンタクトエッジは、直観的な動きを瞬時に伝え、思いのままのボードコントロールをも可能にさせくれる。
息をのむほど美しい真っさらなオープンバーンに爆発的な雪煙を奏でるロングターンから、アンジュレーションのきまったダケカンバのツリーランまで。
パウダーボードと言う既存の枠にとらわれない、スピードとコントロール性能をバランスよく兼ね備えたその非凡なる才能こそ、”GENIUS”たる所以なのかもしれない。
GENIUS 168
CO.Length: 910
Nose: 310
Waist: 255.6
Tail: 265
Setback: -90
Stance: 48-52-58

GENIUS 157
CO.Length: 880
Nose: 300
Waist: 245.6
Tail: 255
Setback: -90
Stance: 44-48-54

-GENIUS Split-
”GENIUS”の最高のパフォーマンスを発揮できる舞台がディープパウダーの大斜面なら、そこまでのアプローチを容易にさせてくれるのがこの”GENIUS SPLIT”だ。
スプリットボードは、分割した2本の板にクライミングスキンを付け登坂用具として使うツアーモードと、その板を繋ぎ合わせソリッドボードとして使うライディングモードの2つの機能を持っている。しかし、この2つのモードに求められる性能は、相反するものもあり、多くのメリットがある反面、いくつかのデメリットも存在する。
ツアーモードでは、長いハイクやラッセルで足に負担をかけないための軽量化に加え、クライミングスキンで雪面をしっかりとらえるために、板には張りのある硬さが求められる。一方、ライディングモードでは、2枚の板を繋ぎ合わせることで、できる限りフレックスとトーションのバランスが失われないようなデザインが重要となってくる。ベストパフォーマンスを導くために、このジレンマを如何に解決していくか・・・・。

Satoshi Tsukahara
Photo:Key Sato
数シーズン、様々なシチュエーションでのフィールドテストを繰り返し、多くの乗り手のイメージを念頭に置きながら生み出された『GENIUS SPRIT』
スプリットボードの持つライディングでのデメリットを最小限に抑え、使用するインターフェイスやビンディングによってフィーリングをアジャストさせながら、自分の滑りに馴染ませてゆく。
日々のガイディングの中で、たくさんのパウダーを滑り、過酷な環境を共にしてきたからこそ、いまでは僕にとって雪山でもっとも信頼のおける相棒となっている。
GENIUS Split
CO.Length: 910
Nose: 310
Waist: 255.6
Tail: 265
Setback: -90
Stance: 48-52-58


Text:Satoshi Tsukahara
-HOKKAIDO BACK COUNTRY GUIDES-